小説「怪しい隣人」を読みました。
短編集です。
どれもが身近にあるような話で恐い。。
怪しい隣人
小説の「怪しい隣人」を読みました。
短編集で6つの話が収録されています。
著者は小池 真理子です。
以前に「墓地を見下ろす家」を読んですごく怖かった記憶があります。
「となりの隣人」は墓地を見下ろす家とは違って短編集です。
6つの話があります。
6人の隣人、6回分の罠。さえない中年男の、親友の未亡人に寄せるほのかな恋心がとんでもない結末を生む「妻と未亡人」。夫の上司の娘を預かることになった主婦が、知りたくもない事実を知らされる「本当のこと」。思いがけない事件をきっかけに妻と愛人の間で孤立してゆく男を描く「隣の他人」ほか、ありふれた人々の、少し歪んだ思惑が交錯するとき、日常にぽっかりと開く恐怖の落とし穴。心の闇を暴くサスペンス6編。
- 妻と未亡人
- 家鳴り
- 終の道づれ
- 寺田家の花嫁
- 本当のこと
- 隣りの他人
どれもが身近にひそむ話で恐いです。
※ネタバレあります。
親切心につけ込む
印象に残っているのは「妻と未亡人」です。
旧知の知人が亡くなりその妻が自分を頼ってくる話。
知人はお金にだらしなく財産が残っているとは思えない状況で、当面の生活費を貸してほしいと頼ってきた妻。
親切心からお金を貸してあげる。。
すると「実は妊娠してるんです」と告げられその出産費用等をどうしていいかわからないといわれる。
その時点で「ん?」と気づけばよかったのですが、、、、。
予想通りどんどんハマっていき大変なことになる、、、という話。
知人の妻とは深い関係にはならず、その妻に他に男がいるようなそぶりも見え、最後には自分の妻にも多額の支援をしていることを知られてしまう、と。
実際このような話ってありふれていると思うのです。
自分が同じ立場になったら、、、ハマらずに済むかわかりません。
おせっかいすぎる
自分ではよくしてあげているつもりが相手にとってはただのおせっかいに感じている、これもよくある話でしょう。
「終の道づれ」もよくある話かなと。
静かに暮らしたいと思っているのに色々とおせっかいをしてくる人がいて逆に迷惑に感じてしまう。
本人はよかれと思ってやってくれているのでハッキリと断れない・・。
よくある話ですね。
「終の道づれ」もそのような話。
夫に先立たれて一人で静かに生きて行こうとしている、再婚なんて考えてないのにおせっかいな知人が色々とやってくれる。
自分の意図とは関係なくどんどん話が進んでしまうのも怖いのですが、本当に怖いのは最後。
お手伝いさんがいて、そのお手伝いさんも知人のおせっかいを嫌だと感じている。
そのお手伝いさんが「エレベーター点検中」の札を取ってしまい知人がそれを知らずエレベーターに乗ろうとしてい・・・。
悪いことをした、大変なことをした自覚が感じられないのが怖い。。。
寺田家の花嫁
田舎暮らしを夢見て婚活している都会暮らしの女性の話。
田舎暮らしがいいと思う人が一定数いるでしょうけどおそらくは都会暮らしの方がいい人が多いでしょう。
農業など田舎で暮らしてくれる女性を探している男性と出会い結婚。
夫の田舎にあいさつに行き、前妻がトリカブトを食べて死んだと聞かされる。。。
いくら田舎であってもトリカブトをそのままにしておくことが異常。
違和感を感じつつスルーしてしまうと。
夫の家から3か月くらい都会の妻の家で生活してみたら、と提案されます。
夫はずっと田舎暮らしで都会で生活したことないから、と。
妻も色々やることがあるからちょうどいいとして提案を受けてしまう。。。
気づくと、田舎から親たちが都会の妻のマンションに勝手に引っ越してきてしまう。
ビックリしている妻と当たり前のようにしている夫が対照的。
結局、田舎暮らしに飽き飽きしていた家族が都会住まいの嫁をさがして家をのっとろうとしていた、という話。
それだけでも怖いのに、妻が精神的におかしいと入院して(させられて)いるのも怖い。
日常に潜む考えられる話ばかりなのが本当に恐ろしいです。
化け物がでてくるようなホラーではなく人間の怖さがわかる小説です。
未読の方はぜひ。
→ 怪しい隣人
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【編集後記】
昨日はお客様との予定はなし。
次男の保育参観でした。
保育園で友達と遊んでいる姿をみれて何だか安心しました。
戻ってからは執筆を。
【イクメン日記】
保育園でも仲のいい子がいるようです。
家だと長男とケンカばかりなので心配でしたら一安心です。
【一日一新】
保育参観