小説「汚れた手をそこで拭かない」が面白い。日常で起こる罪を誤魔化す

芦沢央の「汚れた手をそこで拭かない」を読みました。
短編集です。
どれも楽しめました。

汚れた手をそこで拭かない

※ネタバレあります。

 

芦沢央の「汚れた手をそこで拭かない」を読みました。
5つの話からなる短編集です。

  • ただ、運が悪かっただけ
  • 埋め合わせ
  • 忘却
  • お蔵入り
  • ミモザ

の5つ。
表題の「汚れた手をそこで拭かない」はありません。

たいてい短編集のときには表題のタイトルの話が入っていたりすんですけど
「汚れた手をそこで拭かない」というタイトルの話はありません。

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。

どの話もお金が絡んできています。
犯罪、悪いことをしているのも共通点。

それで「汚れた手」ということなのかもしれません。

よくある日常の中に起きる罪を誤魔化そうとしてもそうはいかない、ということなのかも。

埋め合わせが好き

5つの話のうち「埋め合わせ」が好きです。

小学校の先生の話。
夏休みのプールの水を間違って流してしまい、多額の水道代の負担をなんとか誤魔化そうとする。
多額といっても13万円。

事実が判明した時点で素直に報告していればそこまで大事にはならなかっただろうに・・・。何とか誤魔化そうとしてあの手この手とやっているうちにもっと大変な事態になってしまう。

読んでいてものすごく共感できました。

ミスをすぐ上司に報告していれば大きな問題とはならなかったのに、自分で何とかしようとして大事になってから判明するという。
ミスをして「どうしよう」と焦った経験は誰でもあるのではないでしょうか。

読んでいて非常に共感できました。

忘却

忘却もよかった。
隣人が亡くなったのは自分のせいではないか?

隣人が真夏にエアコンをつけずに寝てしまい熱中症で亡くなった。

隣人の電気代の督促状が間違って自分に届き、それを妻が隣人に届けると言ってたけど忘れてしまい・・・。
妻が認知症になりかけていて・・・。

隣人が亡くなったのは自分の責任ではないか?と悩む姿。
認知症の妻をかばおうとする姿に共感。

結局、隣人がウチから電気を盗んでおり停電した際に電気が止まったと。
それでエアコンも止まり熱中症で亡くなった。
自分の責任ではなかったと。

自分の責任ではないか、妻の認知症の問題などで悩んでいたところで結局は電気を盗んでいた隣人が悪かったと。
自業自得だったのですね。

隣人も電気を盗んでいることを忘れていたのではないか。
日常の中でそれが当たり前になると意識しなくなって忘れる。
妻の認知症。

それをかけての忘却なのかなと。

 

他の3つの話もよかったのですけど最後のミモザはちょっと終わりが中途半端な感じはしました。

でも全体を通して楽しめました。

未読の方は是非。

→ 汚れた手をそこで拭かない

 

【編集後記】
昨日は執筆を中心に。
ようやくまとまってきました。
午後からは子供たちのオンラインのテスト配信があったのでPCの設定を。

【イクメン日記】
オンラインのテスト配信がありました。
二人同時にやっていたのでごちゃごちゃでしたが無事に終了。
友達とオンラインで話すのが楽しかったみたいです。

【一日一新】
子供たち オンラインのテスト配信